『ラクダに乗って』が合唱曲になりました

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申庚林著『ラクダに乗って』(吉川凪訳)に収録されている3篇の詩、「帰り道」「牧渓市場」「ラクダ」が合唱曲になりました。

作曲を手掛けた壺井一歩さんは、公演時のパンフレットの次のようなメッセージを寄せています。

「牧渓市場」のとき、詩人はまだ40代。こののち、詩人は1980年代の民主化運動に身を投じています(韓国が民主化されるのは1987年)。そして、それから20年以上を隔てて書かれた「帰り道」と「ラクダ」。どちらの詩も、表向きはとても軽やかです。「ラクダ」のユーモアなど、実際に言われたらリアクションにちょっと困りそうですね。かつて「さすらいびとになれ」と空や地べたや山や川に言われたからでしょうか。それでも……「街にあふれた喊声も」「退くまいと固く握り合った手も」それらは確かにあったし、本当は「悲しみも痛みもすっかり忘れ」てなんかいない。私は、音楽でそこを(も)照らしたい、と考えました。

11月に行われたコンサートでの合唱をこちらからお聴きいただけます。

壺井一歩:組曲「ラクダに乗って」〜女声合唱とピアノのための〜
作曲:壺井一歩 https://ippotsuboi.kumogakure.com/
指揮:見角幾代 ピアノ:星野郁子
合唱:女声合唱団カフェクレンツヒェン
(2021.11.7  牛久市中央生涯学習センター・文化ホールにて)

 

●著者プロフィール : シン・ギョンニム(申庚林)
1935年忠清北道中原郡(現・忠州市)生まれ。
1956年『文学芸術』に「葦」などの詩を発表して創作活動を開始。処女詩集『農舞』以来、民衆の暮らしに密着したリアリズムと優れた抒情性、伝統的なリズムを取り入れた詩によって韓国現代詩の流れを一挙に変え、「民衆詩」の時代を開いた。
1970年以降は文壇の自由実践運動、民主化活動で重要な役割を果たす。

●作曲家プロフィール:壷井一歩(つぼい いっぽ)
東京音楽大学作曲専攻卒業。
作曲を阿部義人、有馬礼子、池野成、藤原豊の各氏に師事。
オーケストラ、吹奏楽、室内楽、ピアノ、合唱、声楽作品をはじめ、邦楽器やマンドリン、舞台のための作品など活動は多岐にわたる。
出版楽譜多数。著書に『心に響く「短調クラシック」入門』(廣済堂出版)がある。
公式サイト