第6回クオン「読書会」レポート

○　日　　　時　 : 　2015年4月17日（金）午後7時～
○　場　　　所　 : 　クオン（東京都中央区月島）
○　参　加　者　 : 　男女含め10名

　今回の課題図書は、今韓国で最も人気のある作家の一人であるキム・ヨンスさんの「世界の果て、彼女」です。
　参加者の中には、原書と日本語版のどちらか一方を読まれた方はもちろんのこと、その両方を読まれた方、残念ながらどちらも読めなかった・・・という方も。とにかく、全員が韓国文学を好きでもっと知りたい！と思っているのは事実。
　さあ、キム・ヨンスさんの世界を覗いてみましょう！　
　第6回目の読書会がスタートしました。

●作家キム・ヨンスについて
　キム・ヨンスさんは、「現世代の最も知性的な作家」と評価されており、韓国文学界の中心的な存在の一人であるとされています。そのお名前から女性作家と思われる方もいらっしゃるようですが、え？これを男性が書いたの？と内容から驚く方もしばしば。読み方によってはまわりくどい文体とも言えますが、ひとつひとつ掘り下げながら丁寧に語られるその文体は、読者の心を掴み、いつの間にか違う世界へ誘ってくれます。日本語翻訳されるのはこの作品が初めてですが、韓国では10作品以上発刊されているベテランの作家です。

●作品の感想

　前述の通りキム・ヨンスさんはとても人気のある作家ですので、話はこの作品に留まらず他の作品の話までに及び、大変盛り上がる会となりました。この作品は7つの短編小説で構成されています。キム・ヨンスさんの大ファンの方は、この「世界の果て、彼女」の中では「休みが必要」が最も好きだそう。これは、あの平野啓一郎さんも同じだそうです。　　韓国の小説には、その時の社会背景、韓国で起こった社会的な大事件が盛り込まれることが多いのですが、この作品もその一つ。単なる恋愛小説や家族小説に留まらない、社会的なメッセージ性のある作品と言えます。とはいえ、ある人からは社会派な小説、またある人からは恋愛小説と思わせるこの作品。実際に、当会に参加された方が韓国の書籍店で「今お勧めの恋愛小説は？」と聞いたところ、今回の課題である「世界の果て、彼女」を勧められたそうです。
　韓国人として忘れてはならない社会的な問題や大事件を盛り込みながら、それを読者に押し付けることなく恋愛小説とも思わせるこの作品は、老若男女問わず受け入れられる数少ない作品と言えるでしょう。

●読書会を終えて…

　キム・ヨンスさんの話題に夢中でしたが、腹時計は正直なようで美味しそうな食べ物と飲み物が用意されました。海苔巻やおつまみをいただきながらですが、話が尽きることはありません。
話は新刊予定の小説や次回の読書会の課題について等、韓国文学と日本文学の違いにまで及びました。
　まだまだ日本で韓国文学が馴染んでいるとは決して言えません。韓国の書籍店に行くと日本の小説が店頭に並ばれていて、売上ランキング10位の中に必ず1冊は入っています。ですが、この会に限らずこのような会に参加することで、韓国文学の底力を上げることができ、韓国文学の素晴らしさを知り読む喜びを感じすことができると改めて思いました。

今回ご参加の皆様、ありがとうございました＆お疲れ様でした！

＜文責・K＞