9、10、11巻刊行のお知らせ

今年10月に刊行した9巻から、物語の第三部に突入しました。
物語の主な舞台が朝鮮半島に移り、登場人物たちの複雑に絡まる運命が物語を導いていきます。

【09巻あらすじ】map1
朝鮮全土を覆った三・一独立運動のうねりは、日本の官憲に鎮圧されて収束したが、西姫と縁のある任明彬や、平沙里出身の錫らがデモに関連して拘束された。
晋州に居を構えた西姫は、平沙里の屋敷を取り戻すために趙俊九と対面し、目的を果たす。病に倒れた龍は、その屋敷の管理人として帰郷したが、息子の弘は抱えきれない葛藤から他人を傷つけるなど、心がすさんでいた。
平沙里で細々と暮らす金平山の次男・漢福は、寛洙の計らいで間島に向かった。そして、日本の密偵・金頭洙として暗躍する兄・巨福と再会する。頭洙はその直前、長きにわたって追い続けてきた琴女を、ついにハルビンで捕らえていた。
(吉原育子訳)

【10巻あらすじ】
崔参判家の屋敷を取り戻した西姫は、つらい思い出ばかりだった平沙里に、ようやく姿を現した。その秋夕の日、チャングや鉦の音は往時を思わせたものの、かつて祭の中心だった村人たちは老い、あるいは既に世を去っていた。
中学校の入学準備のため長男・環国について上京した西姫は、ソウルの街角に吉祥の面影を追い求めたが、ついに再会はかなわない。
龍は身分の差を乗り越えて、息子の弘を金訓長の孫娘と結婚させる。
妓生・紀花(鳳順)は、誰にも告げずに相鉉の子を産んでいた。
一方、任明彬の妹・明姫のように新教育を受けた「新女性」たちも自らの生き方を模索し、それぞれに思い悩んでいた。
(吉川凪訳)

【11巻あらすじ】
日本の官憲による執拗な独立運動弾圧は、西姫と縁のある人々をさまざまな形で窮地に追い込む。
環(九泉)は、かつての仲間に裏切られて投獄される。その壮絶な最期は、崔参判家の悲劇の終わりを意味した。
しかし、独立運動に関連して夫の吉祥も拘束されてしまう。
西姫と吉祥の長男・還国は、思春期の悩みを抱え進路の選択に迷う一方で、間島で別れたきりになっている父親に会いたいという思いを強くしている。
西姫と姉妹のように成長して妓生・紀花となった鳳順は、心身共に病んで、平沙里の崔参判家に保護されていた。
その平沙里では農民たちの間で事件が起きた。過去からつながる運命の糸があちこちで交錯する。
(清水知佐子訳)


2020年6月には、第三部の最終巻となる12巻を刊行の予定です。
引き続き『完全版 土地』をお楽しみください。

2019-12-24 (火)

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