『傷痕に咲いた花』金芝河(著)、金丙鎮(訳)/毎日新聞社/ 2004

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日韓の知性が共にする<知の万華鏡>『韓国・朝鮮の知を読む』(2014年刊行)よりお届けしています

谷川俊太郎(다니카와 슌타로)

 

金芝河(キムジハ)『傷痕に咲いた花』
1994年から2003年にかけての、金芝河の日韓での発言を集めた本。三〇年にわたるつきあいがある鶴見俊輔さんは巻頭に書い た「この年月」で、次のように言っている。「金芝河は、礼儀正しい人である。かつて私が会いに行ったことをおぼえていて、 お礼を言いたいといって、30年後に彼は私の家に来た。そういう挨拶、人に向けるまなざし、そういうことから、平和は育まれ
る」

彼の詩がどんなに苛酷な現実体験から生まれてきたか、また彼が詩を書き続けながら、どんなに大きな構想力をもって世界を 考え続けてきたかは、この本を一読しただけで分かる。世論によって救われたとはいえ、金芝河は体制からいったんは死刑の判 決を受けた人だ。彼は私たちが抱いている詩人のイメージを根本からくつがえす。

 

【谷川俊太郎】
1931東京生まれ。詩人。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。1962年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詞賞、1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第34回読売文学賞、 1993年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞、2010年『トロムソコラージュ』で第1回鮎川信夫賞など、受賞・著書多数。詩作の ほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表している。近年では、詩を釣るiPhone アプリ『谷川』や、郵便で詩を送る『ポエメール』など、詩の可能性を広げる新たな試みにも挑戦し ている。公式ホームページ:「谷川俊太郎.com」 http://www.tanikawashuntaro.com/

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